OrchestraSamplesNote

出典: KONTAKUN for KONTAKT DTM DAW user

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オーケストラサンプルライブラリ特集

オーケストラのライブラリ、ソフトウェア音源を比較。オーケストラサンプルライブラリの全体を見渡しています。

** 2007年03月08日改訂版 **

** 2007年03月09日グラフも入れ替えました **

目次

はじめに

本説概要

音色には個人の好みも判断材料になるため、一概に優劣を決めることができません。 資金に余裕があるのであれば、複数を所有し、使い分けをするのがベストです。 ところがライブラリはあまり安いといえる価格ではないため、大多数の人は購入ライブラリを絞りこんで考える必要があります。 そこで、絶対的な指標にならないことを承知のうえで、あえて今回は表にデータとして明確に提示できる値段と収録容量の観点から注目のオーケストラライブラリにある程度の指標を与えることにします。また、ストリングスに関しては私が使えるライブラリのいくつかで同じ曲をデモしている「弦楽サンプル特集」やその他サンプルレビューを参考にしてみてください。 なお、ライブラリ購入時のチェックポイントも挙げておくこととします。

容量を見る理由

たとえば、一般にpp~ffなどの強弱ごとにダイナッミクレイヤーを組んでいるライブラリのほうがより表現力が高いといえます。この場合、レイヤー数が1(たとえばmpのみ)のものと4(p, mp, mf, f)のものでは、単純にサンプル数が4倍で、ライブラリのサイズも4倍の計算になります。

このように、サンプルライブラリという特性上、容量の大きいものが必然的にパフォーマンスの潜在能力を決めることになるのです。当然ながら、詳細が公開されていれば、レイヤ数などを直接確認すべきです。

もちろん、サンプルライブラリではないシンセ系の音源では容量は意味を成しません。 ここの話はあくまでサンプラーの話ですので、誤解なきようお願い申し上げます。

ライブラリ購入時のチェックポイント

サンプルライブラリを評価するためには値段や収録音色数、容量だけでなく、実際の出音の感覚、用意されている表現など複数の要素があります。

音色の豊富度

これは音色の種類とという意味と、同じ楽器でも性格の違う音色があるかどうかという意味があり、また、楽器の特殊奏法の充実度もあります。 自分がやろうとしている音楽に適合する音色があるかどうかは重要なポイントでしょう。

また、音色自体が、落ち着いた音色か、派手な音色か、なども重要な要素ですので、好みや音楽に合わせてデモなどで確認します。

動的音色変化の有無

たとえばベロシティに反応してアタック成分や音色の性格が変化できると音楽にぐっと説得力が増します。総量の少ないライブラリではほとんど望めない要素です。これはライブラリの詳細で音色単体のレイヤー数、また、動的変化用のコントロール要素が公開されていれば事前にある程度は推測可能です。

打ち込み面

VSLのPerformance ToolsやVienna Instrumentsの独自エンジン、QLSOのQ-Legato、Garritan StringsのPerformance Program、Kirk Hunter(KHSO)(KONTAKT2版)のIntervaLive、LegatoLive、Sonic ImplantsComplete Symphonic Collection(KONTAKT2版)のKSPによるレガート・ビブラートコントロールなど、リアルな奏法を実現するための補助機能を有しているものはほかのライブラリとは一線を隔するだけの表現力を発揮することができるものもあります。特にレガート表現を重視する場合はこうした特殊機能がない場合には再現することが困難です。

特にVienna Instrumentsは自由な組み合わせによる奏法のキースイッチ切り替えだけでなく、演奏スピードを認識して奏法を自動的に切り替える機能はライブパフォーマンスでも威力を発揮するものです。

ただ、QLSOのQ-Legatoについてはあまり巷の評判はよくないようだということだけは付記しておきます。ユーザが多い分、不満の声もきこえてきやすいという面もあるのでしょう。

標本化指数

サンプルはPCMウェーブであり、多くのものが16bit/44.1kHzでサンプリングされています。一部24bit/44.1Hzのものもでてきていますが、効果が現れにくく、24ビットであることを購入動機にするのは少々乱暴すぎます。

また、24bitのライブラリはそれだけ表現力が期待できるのですが、処理するためにCPU負荷、消費RAMともに大きく増加するものなので、注意が必要です。

価格対効果度

自分が望んでいる表現力が手に入るのであれば無駄に高いライブラリに手を出す必要はなく、同等で安価であればそちらを選びたいものです。 また、少々の妥協によって必要経費が大幅に削減できるとしたらそちらは大いに検討に値することでしょう。

全体を見渡して

図1「値段対容量比」
図1「値段対容量比」

まずは容量と価格の関係を簡単にみるために図1を用意しました。

赤の直線は以前から用いてきたGB=16/3 k yen(GB単価5.33千円)のラインであり、後述する図2の原点から伸びる赤いラインと同一です。しかし、QLSOシリーズなどの値下がりからほとんど役に立たないものとなったため旧基準とし、新たにオレンジのラインを基準として追加しました。

また、今回から日本代理店価格は用いずに、本来のドル価格を1ドル=120円で概算したものを用いています。QLSOなどの価格が本家に追従できていないことに対する処置です。

オレンジの直線はプロットに対する回帰直線で「y = 0.3923x - 10.602」を表しています。 また、オレンジの曲線はプロットに対する回帰二次曲線で「y=0.0001x^2 + 0.2302x +4.948」を表しています。(y=GB、x=1000yen)

はじめに注意しておきたいのはライブラリのみの製品と、簡易再生ソフトもしくは専用ソフトが付属しているものが混在している点です。ライブラリのみの製品は近年において少数派になりましたが、まだいくつかあります。今回記載しているものの中ではSonic ImplantsComplete Symphonic CollectionKHSOVSLのPro Edition、Horizonシリーズが別途サンプラーが必須です。そのため、単体での導入コストはサンプラーがないものではサンプラーを持っていない人には別途サンプラーが必要であることに注意してください。

このグラフは値段と容量の関係をプロットしたものであり、グラフに書き込みをした直線は、単位価格あたりの容量(バイト単価)が同一となるラインを意味しています。 つまり、そのラインを境に上下関係にある点を比較すれば、上に位置するライブラリのほうが値段のわりに収録容量が多いことになります。

その観点からみればVSLの上位製品は値段のわりに収録容量は多いとみなすことができますが、絶対価格が一般的な購買可能価格から逸脱していますね。

また、Vienna Special Editionがラインから飛び出ていることがよくわかります。

近年バイト単価が低下していく傾向にあり、かつてのMiroslav Vitous Symphonic Orchestra Samplesは1GBあたり100千円を優に超えていました。それが今では同製品も価格が約四分の一に、リニューアル製品のMiroslav PhilharmonikにおいてはGB単価9.29千円となっています。さらに今日のライブラリはその水準を上回る製品ばかりとなっています。すばらしい時代になったものです。

それでは、一般的に購入可能なレベルの値段帯の製品に絞ってみていくことにしましょう。

現実的に購入可能なレベルの値段帯の製品

図2「絞り込んだ値段対容量比」
図2「絞り込んだ値段対容量比」

図に入れてある直線と曲線は図1同様です。

圧倒的な表現力を発揮しえるだけのポテンシャルをもったVienna Instrumentsを搭載したVSL SYMPHONIC CUBEの限定版「Vienna Special Edition」、Vienna Special Edition COMPLETE(14万円、80GB)が登場したことで、その他のライブラリは霞んで見える。Vienna Special EditionのSTANDARD版は日本代理店経由価格約6万円。容量がCOMPLETEしか公開されていないため推測になるが容量はおよそCOMPLETEの半分で40GBとなるものと思われる。容量あたりの価格がもっとも多いだけでなくVienna Instrumentsエンジンによる高機能が提供されるため、すでにただのライブラリでは相手にならないと言っていいでしょう。

Vienna Special Edition COMPLETE(14万円、80GB)をメインに考えてよいです。

QLSO GOLD + PRO XPが本家では通常時の価格で以前の半額レベルに落ちているので多少の魅力は残っています。しかし、どれかひとつを選ぶとなるとVienna Special Editionに分があります。

MOTU Symphonic Instrumentは8GBで$295(40k yenとしてプロット)ですので、その安さが際立っているような気がしますが、赤ラインからそれほど逸脱していません。

QL COLLOSSUSや、発売予定のSonic ImplantsMUSEが飛び出ていますが、これらはオーケストラ楽器以外を多く含むGM音色網羅型のライブラリです。 COLLOSSUSの32GBのうち、East WestとQUANTUM LEAPブランドの他製品からの抜粋が15GBで、2GB分は新レコーディングのピアノサンプル、そして残り15GBは新録音のサンプルとなります。 オーケストラに無関係のギター系、エスニック系、鍵盤系、シンセ系の音色を大量に含んでおり、そのうち今回の主題である総合オーケストラライブラリに相当する部分は多めに見積もっても15GBほどです。 MUSEもコロッサスと同様のサンプル配分でした。

CONEXANT GM500 KITとGM150は名前の通りGM音源と同じ128音色をそろえたライブラリであり、オーケストラライブラリも形式上は内包するものです。 絶対的な価格だけでいえば安いので、とりあえず買ってみる、といきたいところでもあるのですが、再生エンジンは含まれておらず、GigaSampler互換サンプラーが別途必須であるので、気軽に導入できるものでもありません。また、巷の評価も低いようです。

ADVANCED ORCHESTRAは1996年の製品であり、いまのようなソフトウェアサンプラーではなく、ハードウェアサンプラー時代のものです。 そのため規模は小さく、省メモリな構成となっているのが特徴です。 当時の評価はなかなか高く、拡張パックなどもあり、複数フォーマットで再発売されています。 また、いまでも扱いやすさから愛用している方もいるようです。 ただ、いまの製品群をみると魅力に欠けることは否めませんでしたが、Best ServiceからPeter Siedlaczek's Complete Classical Collection(KONTAKT Player付き)がリリースされアップグレードパスが2006年5月まで用意されていました。

Kirk Hunter Symphony Orchestraが飛びぬけているのですが、GigaStudioないしはKONTAKT2が必須で、さらにライブラリの特殊機能を発揮するためには今のところKONTAKT2が絶対条件となっているため、それを考えるとKONTAKT2を持っていない人にとっては価格帯は一気に跳ね上がります。

  • EWQLSO Gold Edition + Pro XP 本家価格:US$995($1=120円換算で約12万円)、日本代理店価格:23万円。36GB。
  • Vienna Special Edition COMPLETE 本家価格:US$1040($1=120円換算で約13万円)、日本代理店価格:14.3万円。80GB。

できるだけ投資を抑えたい人は

ついこの前までは安価な総合オーケストラライブラリといえば「GPO」か、「QUANTUM LEAP Symphonic Orchestra Silver Edition」のどちらかを選ぶという感じでした。 ですが、同じ価格帯に、容量だけみても2倍を超えるMOTU Symphonic Instrumentやさらに条件が揃えばですが10倍以上と同一価格帯で圧倒的容量のKirk Hunter Symphony Orchestraなどが登場したことで、その二つのライブラリの存在感が一気に失われた感があります。

さらに、前述したように、圧倒的な表現力を発揮しえるだけのポテンシャルをもったVienna Instrumentsを搭載したVSL SYMPHONIC CUBEの限定版「Vienna Special Edition」、Vienna Special Edition COMPLETE(14万円、80GB)が登場したことで、その他のライブラリは霞んで見える。中途半端なものを買うよりもVienna Special Edition STANDARDに6万円の投資をしたほうがよい。

またGPOの拡張音源GPOAは遅延に遅延を重ねた結果、いまだに姿が見えず、商機を逸した感が強まってきました。

Peter Siedlaczek's Complete Classical Collectionはコーラスサンプルが結構な割合をしめるので注意したい。

HALion Symphonic Orchestraは総計27GBなのだが、まったく同一の内容の24bitと16bitの2つのバージョンの総計であり、24bit単体では16GB、16bit単体では11GBである点が要注意です。 MSIと、このHSOの24bit版のバイト単価が同一(4.38kYen/GB)でありおもしろい。(MSIは16ビットなので16bit版で比べれば6.37kYen/GBでEWQLSO Gold Edition + Pro XP購入と同水準) また、HSOは他の音源にはないエデュケーション版といういわゆるアカデッミク版(学割版)が存在しており日本ではおよそ3万5千円(3.18kYen/GB)で提供されている。このためエデュケーション対象者にしてみれば選択肢はHSO一択といってもいいほどですでしたが、下手なものに手を出すよりもVienna Special Edition STANDARDの導入の検討をお勧めします。

KONTAKT2をすでに持っている人にはKirk Hunter Symphony Orchestra Emeraldバージョンが有効な選択肢ではある。Emeraldバージョンは最近KONTAKT2向けに機能が強化されている上、音色バリエーションと表現力はかなり高い。Emeraldバージョンにつづいて大幅に強化されるRubyバージョンが近日リリースされる予定であるが規模と価格についは今のところ正式発表がないが、急にバイト単価が跳ね上がるとは考えられない。しかしながらKONTAKT2が必須である点がネックであり、仮に同時購入となると約4万+約6.5万(日本版)で10.5万円で、ライブラリは20+7=27GB(3.89kYen/GB)で、バイト単価でいえばMSIよりずっといいわけでが、絶対価格が結構イイお値段になってしまうめ、MSIやHSO学割を買うのが精一杯の方々にとっては一気に購入しづらくなる感は否めませんし、Vienna Special Edition STANDARDの導入の検討をお勧めします。

MUSEをオーケストラで買うのは、各種奏法などの観点でお勧めできません。

ドル価格による比較

画像:Soukan us3.png
図4「USD版全体プロット図」

いままで見てきたのはあくまで日本価格であり、基本的に代理店経由価格になります図を入れ替えたため、本家ドル価格からの円換算価格となっています。 実際のメーカーの価格設定を考察するためにはドル価格をみるのが適切です。 ドル価格を見ることで、メーカーの戦略的価格がよくわかります。 目安となるGB=78.57USDラインを赤で入れています。

現状、この図4が古いままです。図1~2、下記データ一覧などをご確認ください。

QLSOが大胆に値段を下げ、基本価格が半額レベルになっていますし、その上でのセールも行われている様子。ただし、日本代理店はまだ追従できていないので注意してください。

最後に

容量というのは、サンプルライブリにどれだけのサンプルが使われているのかということであり、それはライブラリのポテンシャルを知るためのひとつのデータです。 もちろん容量が20ギガを超えるOpus1とおおよそ16ギガ程度のQLSOゴールドの表現力がどの程度違うかというのは、実際のパッチの中身を見ないことにはわかりませんし、音色のニュアンスは音を実際に聞かなければわかりません。 しかし、誤解を恐れずに言えば2GB程度のGPOやQLSOシルバーと7GBを超えてくるMiroslav Philharmonik、MOTU Symphonic Instrumentとではすべてにおいてとはいえないまでも、総合的なポテンシャルの違いが大きくあることは間違いないのです。

グラフを見て確実にいえることはメーカー側は値段を容量をもとに決定してきているという状態から脱却してきたことでしかないわけですが、ひとつの参考データとしてご利用ください。

蛇足

ライブラリを購入するときにはデモ曲を参考にすることが多いと思う。その時に注意したいのはデモを「曲」として聴いてはいけないということだ。 この当然のことを意識せずにいると、「音」ではなく、「曲」を評価してライブラリを選択してしまいかねない。

私の書いている記事も含めてだが、記事を読むときにはすべてを鵜呑みにするのは避けたいものだ。事実と意見の境界をしっかり読み分けるのが賢い情報利用方法だからだ。

データ一覧

名前 値段(US$) 値段(k yen) 容量(GB) GB単価(k Yen) 時期(A.D.) エンジン
Vienna Special Edition STANDARD US$445 \61k 40 1.53 2007 VI
Vienna Special Edition COMPLETE US$1040 \143k 80 1.79 2007 VI
MUSE US$495 \57k 30 1.90 2006 GVI
Kirk Hunter Symphonic Orchestra Emerald US$325 \39k 20 1.95 2005
VSL P.E FULL SET "US$5,990" \617k 238 2.59 2003
HALion Symphonic Orchestra 24bit+16bit US$745 \70k 27 2.59 2006 HALion3
VIENNA INSTRUMENTS SYMPHONIC CUBE "US$10,990" "\1,421k" 548 2.59 2006 独自(V.I)
VSL P.E O.C "US$3,480" \362k 113 3.20 2003
Peter Siedlaczek's Complete Classical Collection US$299 \36k 11 3.27 2006 KONTAKT
EW QUANTUM LEAP COLOSSUS US$995 \111k 32 3.47 2005 KOMPAKT
MOTU Symphonic Instrument US$295 \35k 8 4.38 2005 Mach Five
HALion Symphonic Orchestra 24bit US$745 \70k 16 4.38 2006 HALion3
EWQLSO Platinum Edition + Pro XP $5,990down $3190 \682k 138 4.94 2005 KOMPAKT
EWQLSO Platinum Edition US$2,995down $1595 \341k 68 5.01 2003 KOMPAKT
VSL H.Opus1 US$895down $875 \129k 25 5.16 2004
VSL H.Opus1+Opus2 US$1,295down $1065 \182k 34 5.35 2005
SI Complete Symphonic Collection "US$2,995" \420k 78 5.38 2005
EWQLSO Gold Edition + Pro XP US$1,990down US$995 \230k 36 6.39 2005 KOMPAKT
EWQLSO Gold Edition US$995down US$595 \115k 15 7.67 2003 KOMPAKT
Miroslav Philharmonik US$550 \65k 7 9.29 2005 Sampletank
VSL Kontakt Orchestra US$579 \65k 7.3 8.90 2005 KONTAKT2
EWQLSO SILVER Edition + Pro XP US$590down US$295 \68k 5.5 12.36 2005 KOMPAKT
EWQLSO SILVER Edition US$295down US$195 \34k 2.5 13.60 2004 KOMPAKT
Garritan Personal Orchestra US$279 \33k 1.85 17.84 2004 KONTAKT
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